VAIVTについて

VAIVT(シャントPTA)とは

シャントや人工血管の狭くなったりつまったりした部分を血管内から風船で拡張することでシャントや人工血管を改善する手術です。
局所麻酔をした上で、シャントや人工血管に「シース」という透析使用と同程度の太さの針を刺します。シースから狭くなっている部分にカテーテルをすすめ、バルーンカテーテル(風船)によって異常がある部位を血管の内側から広げます。

VAIVT中の疼痛コントロール

バルーンカテーテル拡張中に強い痛みを感じることもあるため、拡張部位に局所麻酔剤を注入してから拡張を行っています。その分、手術時間は長くなりますが、痛みが少ない手術で少しでも苦痛を和らげることを最優先にしています。
痛みがとても苦手な方には、腋窩神経叢ブロックという強い麻酔をかけて治療することも可能ですが、半日程度腕が思うように動かなくなります。
疼痛コントロールについては、患者様に相談したうえで行います。

エコー下VAIVT

当院では、エコー下VAIVTを主に実施しています。症状にもよりますが、日帰り手術で実施可能です。

エコー下VAIVTのメリット・デメリット
メリット ・造影剤を使用しないため、造影剤アレルギーの方でも安心して治療が行える
・放射線を使用しないため、被爆のリスクがない
デメリット ・エコーに映せない中枢病変には不向き
※エコーに映せない病変がある場合は、透視下VAIVTを選択します。

当院では、最も適切な治療法を選択し、定期的な診察によって、できる限りバスキュラーアクセスを長持ちさせるよう努めております。

様々な治療法があります

①バルーン(風船)カテーテルによる治療

先端にバルーンのついたカテーテルをシャント血管内に挿入し、シャント血管が細くなっている場所までカテーテルを進め、バルーンを膨らませてシャント血管を拡げます。
狭窄を繰り返す症例については、薬剤コーティングバルーンを用いる場合があります。

薬剤コーティングバルーン

薬剤コーティングバルーンの表面には、薬剤(パクリタキセル)が塗布されています。
狭窄をきたした血管壁部分でバルーン(風船)を広げ、表面の薬剤を浸透させることで再狭窄する期間を延長することが期待できます。適応には条件がありますが、繰り返されるVAIVTでの患者負担を少しでも減らすため、導入しました。

薬剤コーティングバルーンの使用には、適正使用指針が定められており、「施設体制・術者」の基準を満たした施設で使用可能です。当院はこの指針を満たしています。

②ステントを用いた治療

バルーンカテーテルを用いてもシャント血管の拡張が不十分な場合には、ステント(金属製の網状の筒)を留置することがあります。
また、人工血管(グラフト)で狭窄を繰り返す場合はステントグラフトを使用する場合もあります。

ステントグラフト

ステントグラフトとは、バネ状の金属の人工血管です。人工血管の静脈吻合部の狭窄・閉塞部に留置します。
人工血管は自己静脈が乏しい場合が多く、静脈吻合部の狭窄をきたしやすいため、その度にVAIVT手術を行う必要がありました。しかし、このステントグラフトを使用することで、血管の長期開存、治療回数の低減が期待されます。

ステントグラフト使用には、適正使用指針が定められており、「施設体制・術者」の基準を満たした施設で使用可能です。当院はこの指針を満たしています。

③血栓除去カテーテルによる治療

シャント血管が詰まってしまったとき(閉塞)などは、血栓を吸引するカテーテルをシャント血管内に挿入し、血栓を吸い取ります。
症例によりますが、シャント閉塞しても90%以上の患者さまは閉塞後7日間以内であればシャントを復活させることができます。

④CTO(慢性完全閉塞)の開通

シャント閉塞はしなくても、血流がほとんどないシャント血管部分を長期間放置すると血管内が線維化し部分的に血管が閉塞することがあります。10cm未満のCTOであれば、閉塞した血管の血流を再開させることも可能です。これにより、穿刺部位を広げることが可能となります。